あらえびすブログ

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その2

モンサントが世界の水支配に本格的に取り組み始めたのは、1999年のことである。
多くの人口を抱えながら水不足に直面している国々を相手にした、新たな水ビジネスを立ち上げたのだ。最初のターゲットになったのは、インドとメキシコである。


地球規模で深刻化する水不足の状況は、今後も悪化する一方で、国家の枠組みに縛られない国際機関やNGOが、資金面で大きな役割を果たすに違いないと分析した。


モンサントが掲げたスローガンは「我が社は世界の人々に食糧と健康、そして希望を届ける」というものである。このスローガンの下、同社はインドとメキシコの水関連ビジネスからだけで2008年までに6300万ドルの利益を生み出す計画を打ち出した。


同社の予測では、2010年までに世界では25億人の人々が安心して飲める水へのアクセスが不足するという。


なかでも中国やインド、メキシコ、そして米国でさえも少なくても人口の30%程度は水不足、言い換えればウォーターストレス状態に陥ると予測した。
この予測は米国CIAが2000年にまとめた「グローバル・パターン」の分析と合致している。(モンサントはCIAと兄弟のように深く結びついた企業である)


特にインドの状況は深刻で、2025年までに、インドにおける水の供給量は年間700KM3になると予測されるが、需要はその倍近く晴れ上がると思われた。
このような分野で確実なサービスが提供できれば、モンサントにとっては莫大な利益が保証されたに等しい。


欧州復興開発銀行EBRDのジョン・バスティン理事は「ウォーター・ビジネスは世界の民間投資分野において、最後の未開拓地といえる」と語った。


この発言に真っ先に飛びついたのがモンサントであった。同社はインドやメキシコにおける水関連施設の建設に向けて、安全な水道水の供給プロジェクトなどの数十億ドルの投資を始めた。


計算高いモンサントは、これらの初期投資は世界のNGOが各途上国の水不足を改善するために調達した資金を利用できれば、十分ペイするとの見通しを立てた。
要は、公的な資金やNGOの国際的な影響力に早くから着目し、その資金を自分たちに呼び込もうともくろんだわけだ。


確かにインド政府の場合を見ても、モンサントが本格的に水ビジネスへの参入を始める以前、1992年から1997年の6年間だけでも12億ドルもの資金投入を行ってきた。
また世界銀行も、インドの水資源確保に向けて9億ドルの資金提供を行ってきた。


モンサントの戦略は、まずは地元の政府や住民を味方につけることから始まった。
具体的には、インドの地元企業とジョイントベンチャーを組み、安全な水を供給するビジネスに参入した。
インドを代表するイウレカ・フォーブスやタタなどの有力企業と提携する形でモンサントはインド市場への参入のとっかかりを手にすることができた。


また、インドのウォーター・ヘルス・インターナショナルの株式を取得することでインド国内のウォーター・ビジネスへの影響力を強化しようと試みた。


モンサントが提携したインド企業は、いずれも同国内の水道事業や水関連のビジネスに一定の実績をあげてきた。しかし資本力、技術力が効果を発揮した結果、同社はインド国内のウォーター・ビジネスを独占的にコントロールできるようになった。


その成功の足ががかりに、モンサントはインドから他のアジア諸国にも触手を伸ばし始めた。
すでに同社は種子ビジネスを通じてアジアの農業には深く食い込んでいたが、新たに確保したインドの産業基盤を通じて、周辺国における漁業や養殖業にも参入するようになった。


従来の農業分野に加え、モンサントはこれら新しい分野で2008年末を目標に16億ドルの収益を上げようとする計画している。


またモンサントはその政治的影響力をフルに働かせ、世界銀行に対して上下水道の民営化と水利権の売買を、民間企業の民営化に資金提供と技術指導を約束するようになった。


それまで天から降ってくる無償の贈り物であった水資源を、商品として管理することを世銀・国連に要求し、それを自分たち民間に請け負わせるように要求し、莫大なリベートと引き替えに、腐敗官僚からそうした権利を入手していったのである。


世界銀行の傘下にある国債金融公社8(IFC)では発展途上国における農業や漁業、そして水関連のビジネスに対して積極的な融資を行っている。
その受け皿は決まってモンサントというわけだ。同社にとって確実に水から利益を生み出すことができるビジネスモデルを確立したといえよう。


ここに、モンサント社とならぶ、もう一つの悪魔、ベクテル社が登場する。第二次大戦前後のベクテル社モンサント社の幹部には、核物理学者ローレンスなど共通メンバーが多い。
いずれもロックフェラーの兄弟会社と断言してもよい。